小児科学会 Injury Alert
小児科学会のInjury Alert(傷害速報)には日常生活の中で起きた事故症例の詳細が報告されています。事故を知ることで予防することが可能であるにもかかわらず、同様の報告がくりかえし起きていたり、思いもよらない状況で事故が発生していることもあります。今回は暑い夏に注意が必要な報告です。
Injury Alert #35 (立体駐車場の床面)鉄板による熱傷
1歳1か月 女児
7月、快晴で、気温は32.7度、約1週間真夏日が続いていた。11時頃に、両親が目を離していた間に立体駐車場の鉄板の床に両手を触れたところ熱傷となった。鉄板に触れていた時間は不明であったが、短時間であったと推測される。
受傷後すぐに病院を受診した。両手掌に水疱をみとめ、Ⅱ度の熱傷になっていた。
Injury Alert #35類似症例 ベランダ(コンクリート)での足底熱傷
1歳2か月 女児
6月、網戸を開いており、室内とベランダは行き来が可能な状況であった。歩き始めたばかりの子どもの鳴き声に気づいて母がみにいくと、ベランダから室内に戻ろうとしているところだった。数分のできごとであった。子どもの両足底に発赤、水疱を認めたため、冷やしながら病院を受診した。このベランダは夏場で日差しが強いと、大人でもサンダルなしでは歩けないほど熱くなるとのことだった。
足底はⅡ度熱傷であり、水疱を破蓋・除去し、洗浄、外用剤で治療が行われた。4日後に熱傷部位の感染が疑われ、入院にて抗生剤治療を行われた。入院5日目に退院。受傷後63日目に終診となった。
熱くなった金属での火傷はほかにもあります
- バーベキューの鉄板
- 船の鉄板
- バイクのマフラー
- チャイルドシートのハーネスの金具
高温物体による過熱熱傷の深度= 物体の温度、接触の時間により規定されるので、いろいろな可能性が考えられます
公園の遊具はとても熱くなります
公園の遊具は多くが金属製です。大人でも触れないぐらいの温度になっています。また、金属でなくても、夏の猛暑で熱くなっていますので、子どもを遊ばせる際には、一度大人が確認したうえで子どもを遊ばせる必要があります。
米国消費者製品安全委員会(CPSC)からの報告書を解説
CPSC fact sheetは遊具での火傷についてまとめてくれているので説明します。
原文:Burn Safety Awareness on Plygrounds(英語)
遊具が夏に熱くなる危険性について注意しましょう。
金属だけでなく、最近使われているプラスチックやゴム製の遊具も同様に熱くなる可能性があります。たとえ熱くない日であっても、日光があたれば熱くなることもあります。実際、気温23度の日にプラスチックの滑り台で子どもがⅡ度の熱傷になっています。2001~2008年の事故30件のうち、10件はプラスチックやゴム製の遊具でした。
注意点は何か?
- むき出しになった金属、ゴムの覆いがとれているものがないか
- 滑り台、ブランコなど、子どもが長時間座り続ける遊具
- 黒い色の遊具
- 遊具の近くのコンクリートやアスファルト
最も危険な年齢は?
どの年代の子どもも注意は必要ですが、特に2歳以下のこどもは以下の理由から注意が必要です。
- 子どもも皮膚はうすく、弱いので火傷がひどくなりやすい
- 熱いものに触れたときに、うまく対応できない。表面が熱い部分に座ったり、立ったりしても、ただ泣くだけでその場から動くことができないのです。
対策としてできることは?
- 日差しや気温に注意しましょう
- 子どもを遊ばせる前に、熱いかどうか調べましょう
- 子どもに靴やズボンなどの適切な服装をさせましょう
- 遊具や周辺の地面が熱いことを忘れないで!
- 子どもが遊具で遊んでいるときは、しっかり見守りましょう
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