【論文】子どもの衝動性を抑える生活習慣とは?



24-Hour movement Behaviors and Impulsivity

この論文は2019年8月にアメリカ小児科学会雑誌 Pediatricsに発表されました。タイトルは訳すと「24時間の行動と衝動性」です。この24-Hour movementはカナダ運動生理学会が発表した「Canadian 24-hour movement guidelines」です。そのガイドラインでは小児は

  1. 9-11時間の睡眠
  2. スクリーンタイムは1日2時間以下
  3. 1日に少なくとも60分以上の中等度から激しい運動を行う

ことが推奨されています。

この3つの行動が子どもの衝動性にどのように影響を与えるか検討した論文となります。

衝動性はどのように大切なことなのか?

衝動性はADHDの中核となる特徴だが、薬物中毒、行動嗜癖、摂食障害などとも関連が指摘されている。また自傷、若者の自殺企図に結びつく、感情の調節不全とも関連します。つまり、修正可能な衝動の要因をみつけることは、衝動の制御と関連した精神的な問題の治療や予防にもつながるのです。

方法

カナダの24-Hour Movement Guidelinesにあった生活と衝動性についての関連性を研究します。

4542人の8-11歳の子どもが対象となりました。睡眠、スクリーンタイム、身体活動、評価項目について親、子どもから回答を得ています。

評価方法

衝動性については以下の項目を0-3点の4段階で評価をしています。

negative urgency

”戸惑ったときに、考えなしに行動してしまう”

positive urgency

”本当にうれしいことがあったときに、結果として問題を起こす行動をとる”

Premeditation(計画)

”何かを行う前に、立ち止まって考える”

perseverance(忍耐)

”始めたことを最後までする”

sensation seeking

“多少怖いとしても、新しく、スリルのあるものを好む”

Behavioral Inhibition System

”うまくできなかったとき、心配になってしまう”

Behavioral Activation System reward responsiveness

”自分の望むものが手に入ると、興奮しやる気に満ち溢れる”

Behavioral Activation System drive

”自分のやりたいことは、全てやる”

Behavioral Activation System fun-seeking

”興奮と新たな感覚を欲する”

delay discounting task

”3日間で$75手に入る”のと、”3か月で$115手に入るの”ではどちらを選ぶか決めてもらう。前者は安いがすぐに手に入る報酬、後者は遅いけど高額な報酬となっている。また”決めることができない”という選択肢もある。

結果と結論

3つの行動条件全てを満たす子どもは、①positive urgency, ②negative urgency, ③Behavioral Inhibition System, ④perseverance, ⑤delay-discountingに関してよい結果となった。スクリーンタイムと睡眠時間の条件を満たす子どもは全ての項目において衝動性を示さなくなった。

今回の研究では身体活動については有効性が示されなかったが、若者にとって運動が大切であることは過去にも報告がある。(運動について意味がないといってるわけではない)

カナダ:子どもの24時間の行動ガイドライン

ホームページには0-4歳、5-17歳、18-64歳、65歳以上の4つの年齢ごとのガイドラインが作成されており、みることができます。

Canadian 24-hour movement guidelines

まとめ

9~11時間の睡眠と1日2時間以下のスクリーンタイムの両方を満たす場合、子どもの衝動性を抑制することが示された。さらに1日60分以上の運動を併用することで衝動性を抑えることも示されており、これら3つの行動を守ることは重要であると考えられる。

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。