Injury Alert(障害速報)#1 哺乳びん・乳首の消毒剤(タブレット型)による喉頭狭窄



Injury Alertとは何か?

日常生活で子どもが遭遇する事故。それらは予防可能なものもありますが、報告されることもないため十分な対策が行われず、同じ事故が繰り返されています。

そのため、日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会により、2008年から日本小児科学会雑誌と学会ホームページに事故の詳細が掲載されるようになりました。それがInjury Alert(傷害速報)です。2011年からは類似の事例も掲載されるようになりました。

治療にあたる小児科医が知ることも大切ですが、実際に実際に事故に遭遇する両親、家族に知ってもらえるように記事を書いていきます。

タブレット型消毒剤を誤嚥し、喉頭狭窄、食道入口部狭窄を発症

9か月 男児

台所の流しの下にいれておいた消毒剤錠を2歳の姉が開封し、男児の口腔内へ入れた。その後呼吸が苦しそうになったため、近医を受診し入院となった。

呼吸状態改善し、食事も問題なくなったため、1か月後に退院した。

それから2週間後、再度呼吸が苦しい状態となった。喉頭ファイバーで下咽頭、咽頭部の狭窄を認めたため、緊急入院となった。

治療経過

気管切開され、バルーンで食道を拡張する手術が行われた。

20日後には胃ろうの増設、再度バルーンでの食道拡張術が行われた。

2週間後より嚥下を開始

1か月後 喉頭蓋癒着剥離術が行われた。

入院から3か月後に退院となった。胃ろうは閉鎖されたが、気管切開は残した状態。

注意するポイント

口の中にはいるサイズのものであれば、上の子どもが乳児の口にモノを入れることはよくある。そのため、乳児が開けにくいパッケージにする必要がある。

また子どもが触ったり、開けることができる場所には危険だと思われるものは置かないようにすることも大切。

今回の誤嚥では消毒剤によると思われる、粘膜の癒着が起きていた。原因の物質が何であったかは同定されていないが、その物質を除くか、濃度を下げることで粘膜障害を防ぐことも可能かもしれない。

窒息は0~9歳の家庭内の事故 第1位

その他の不慮の窒息

  • 0歳  81.3%
  • 1~4 48.6%
  • 5~9 35.7%

平成29年 人口動態統計 家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合より

その他のInjury Alertはこちら

Injury Alert(傷害速報)
No.001 哺乳びん・乳首の消毒剤(タブレット型)による喉頭狭窄

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。