2018年 インフルエンザ迅速検査を徹底比較



インフルエンザが流行するシーズンです。ワクチン接種はすみましたか?

もしインフルエンザかな?っと思ったら病院で検査をしないといけません。鼻に綿棒をつっこむ痛い検査です。何回もしたくないですよね?早く結果をしりたいですよね?

迅速検査の種類や特性、かしこく受診し、無意味な検査をさけるためのコツをお伝えします。

インフルエンザ迅速検査は25種類も!!

現在多くのメーカーからインフルエンザ迅速検査は発売されています。またインフルエンザA型、B型だけでなく、同時にRSウイルスやアデノウイルスなど別のウイルス検査ができるものもあります。どの検査を利用できるかは受診する病院によります。

ENIF D-proという医療ニュースサイトでは2017年に発売されているインフルエンザ迅速検査がPDFファイルでまとめられています。

Quick Menu⇒一覧表 から検索可能です。このPDFファイルにまとめられている情報で一番役に立つのは、使える検体採取方法がまとめられていることです。

鼻に綿棒をグリグリ!その必要ないかもしれませんよ・・・

インフルエンザ迅速検査といえば綿棒で鼻の奥のをぬぐう必要がありましたが、今は多くの検査が別の検体から検査できます。

  • 鼻腔ぬぐい液(鼻のおくに綿棒)
  • 鼻腔吸引液(鼻水をチューブですいとります)
  • 鼻汁鼻かみ液(鼻をかんでとります)
  • 咽頭ぬぐい液(のどに綿棒ゴリゴリ)

どれ同じぐらいの精度で診断できるようです。ただし、メーカーによっては使用できないものもあるので、検査の前に可能な方法を確認するほうがいいです。できるだけ痛いおもいしたくないですよね。

インフルエンザ?と思っていつ検査をするか

一般的に言われているのは発症(発熱)してから12時間以降です。あまりに早すぎるとウイルスが十分に増殖していないため、検査でみつけることができないのです。つまり、本当はインフルエンザなのに陰性とでる(偽陰性といいます)になるわけです。

北野病院小児科 羽田先生らが検討された「インフルエンザウイルス抗原迅速診断検査利用法―最適な検査時期についての1 考案― 感染症誌 2004」によると、”確実に診断された患者に比較的不利益を与えずに治療できる発症12 時間以降48 時間以内の施行が最適”とのことです。

つまり、

  • 熱がでてすぐに焦って受診する必要はない
  • 解熱剤や十分な休息をとる
  • インフルエンザが疑われる場合には発熱から12時間以降から48時間以内に検査を行う

が、最適となります。

発症早期でも検査可能な富士ドライケム

これはテレビCMでも見たことありますよね?富士フィルムが開発した検査です。インフルラボは富士フィルムの患者向け情報サイトです。ドライケムを採用している病院を検索することもできます。

以下のデータは富士フィルム ドライケムのサイトに掲載されている情報です。感度が6時間以内でも高いことが示されています。もちろん100%でないので偽陰性になることもあります。

発病後の経過時間別の判定結果を示す。

発病後時間(h) 当社キット 他社キット
感度 陽性例/全症例数 感度 陽性例/全症例数
~6 84.6% 11/13 69.2% 9/13
≧6~12 75.0% 3/4 75.0% 3/4
≧12~24 76.0% 19/25 76.0% 19/25
≧24~48 90.0% 9/10 90.0% 9/10
≧48 100.0% 4/4 50.0% 2/4
データなし 81.8% 9/11 81.8% 9/11
総計 82.1% 55/67 76.1% 51/67

[図]発病後時間別感度

引用文献:三田村敬子ほか
:銀増幅イムノクロマトグラフィー法を用いた高感度インフルエンザ迅速診断システムの臨床検討
:医学と薬学 第67巻 第2号 2012年2月 からのデータを改編

抗インフルエンザ薬はいつまでに飲めばいいのか

48時間以内であれば効果があり、ウイルスの増殖を防ぐことができます。誤解のないように書きますが、ウイルスを倒すのではありません。48時間以降では効果があまりみとめられなくなります。

小児科医がおすすめする受診タイミングを具体的にまとめる

  1. 熱がでてもあわてない、解熱剤とクーリングで自宅で休む(深夜に救急は受診しない)
  2. 発熱から12時間以降、日中に病院を受診する
  3. 抗ウイルス薬が処方されたら、用法用量を守って使用する
  4. 十分な期間自宅安静。周囲に感染を広げない努力も大切

もちろん、事前にワクチン接種をすませておくことも大切です。

 

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。