胸部を強打すると起きる、心臓震盪に注意!



心臓震盪とはなにか?

心臓震盪(Commotio Cordis)は、胸部に衝撃が加わることで、もともと心臓に病気のない人でも心肺停止、突然死になる状態です。スポーツ中の若者ので起きていることが報告され、その後AEDの普及とともに救命できた症例が報告されるようになりました。

ドラマ「ER」でも空手で胸をけられた小児が搬送され、グリーン先生が救急救命士へ心臓震盪を説明するシーンがあります。(Season5 Episode2より)

心臓震盪が起きる原因とは

心臓震盪で心肺停止となる理由は、衝撃によって不整脈が発生するからです。そしてその不整脈はほとんどが心室細動であると、研究や症例報告から示されています。

どこに衝撃が加わることで心臓震盪が起きているかについて文献1の図を示します。左心室のある場所に衝撃が加わることで発症していることがわかると思います。

この状態の発症は心臓の鼓動のタイミングが重要になります。心電図を以下に示します。このPからTまでが心臓の一拍に相当します。心電図にはいくつかの波が存在します。それぞれをP波、Q波、R波、S波、T波と呼びますが、その中でもT波頂点の直前、15〜30m秒前(赤印付近)に衝撃が加えられると不整脈が発生します。このタイミングの検討を動物実験で行っていますが、10回中9回の実験で心室細動が起きています。

心電図 wikipeidaより引用 画像を一部改変

どのような場所でおきやすいのか

海外、日本から発生についての報告がまとめられています。スポーツ中に起きることが多く、野球、ソフトボール、サッカーでの発生があるようです。アメリカですとこれにラクロスボールやホッケーパックも加わっています。また身体の衝突でも発生しており、柔道の投げ技、ボクシング、子どもへのしつけも注意が必要です。

発症の多い年齢層は?

北米の症例の70%以上が18歳以下で、若年者に多い特徴があります。日本での症例も同様に中学・高校生に多く認められます。これは子どもの体格であるがゆえに衝撃が心臓に伝わりやすいことが原因と考えられています。

心臓震盪の治療

心臓震盪で原因となる心室細動の治療は、AEDで行うことができる電気的除細動です。治療は可能な限り早く行われる必要があり、1分遅れるごとに生存率は10%ずつ低下します。もし周囲にAEDが準備されていないなら、救急隊を要請すると同時に心肺蘇生を開始してください。

しかし、いざ目の前に人が倒れているときに、冷静にAEDを使用して心肺蘇生を開始することは一般の方にはできないでしょう。AEDを用いた講習会は地域で行われていると思いますので、ネットで調べたり自治体に問い合わせて探してみてください。まずは体でしっかり覚えることが大切です。You Tubeにある日本赤十字社の動画参考になります。

心臓震盪の予防

子どもたちがスポーツを安全に行えるよう、周囲の大人が見守ることが大切になります。胸部への衝撃を減少させるために胸部保護パッドの装着も有効です。

もし発生したときにすばやく対応できる準備は必要です。AEDを準備する、もしくは設置場所をあらかじめ把握しておく。

心臓震盪をもっとしるためのリンク

心臓震盪から子供を救う会

全国柔道事故 被害者の会

参考文献

  1. [総説]心臓震盪(しんぞうしんとう)とは Commotio cordis 牧野信司 慶應保健研究,35(1 ),007 – 011,2017
  2. 子供の突然死 「心臓震盪」について 輿水 健治 救命救急 第18号 2017

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