熱性けいれんが心配になったら知っておいてほしい基本知識を教えます



この記事は主に熱性けいれん診療ガイドライン2015に記載されている内容をまとめています。熱性けいれんがどのようなものか、どう対応すればいいか理解できます。遭遇することが多い疾患に対して、特に熱性けいれんを最初に発見するのはほとんどが親、家族になりますので、親が基礎知識を持つことは非常に重要です。

日本小児神経学会のホームページで公開されているガイドラインですので、興味のある方はご自身で読むことも可能です。しかし、内容は専門的になりますので、自己判断は行わず小児科医へ相談するようにしてください。

熱性けいれんの定義

生後6か月から60か月(5歳)までの乳幼児に、38度以上の発熱に伴い起きるけいれんが熱性けいれんです。ただし、他にけいれんの原因となる疾患がない、てんかんの病歴がないなどの条件もあるため、熱+けいれん=熱性けいれんというわけではないので注意が必要です。

例えば、髄膜炎が原因となってけいれんを起こした場合も、熱+けいれんという症状になります。しかし、この場合は髄膜炎があるのか評価し、抗生剤等の治療が行われる必要があります。熱性けいれんは基本的に経過観察でよい病気なので、治療方針が待ったく違うものになってしまいます。

熱性けいれんに関する統計

熱性けいれんは人種によって発症頻度が多少違うことが分かっています。日本人はやや多く、7~10%と言われています。10人に1人起きる病気というのはとても多いです。また男女比や1.4:1とやや男児が多いことが日本の研究で示されています。(福岡県 久山町研究 118名のデータ)。予後にも精査がみられ、女子のほうが再発率は高いです。

熱性けいれんの家族歴と発症の危険性も報告されています。両親ともに病歴がある 40~80%、片親のみに病歴がある 20~30%、兄弟に病歴がある 50%となっています。明らかな遺伝的異常が特定されてはいませんが、何らかの遺伝的要素があることに疑いはないと考えられています。必ずしも起きるわけではありませんが、これら家族歴がある方は情報を把握しておくことで、今後の発症について考えるうえで非常に参考になります。

熱性けいれんと予防接種

以前は、1年以内にけいれんがあったものは禁忌としてワクチン接種はできませんでしたが、今は要注意者として接種が可能となりました。ガイドラインでは最終発作から2~3か月あければ接種可能としていますし、主治医が可能と判断すれば1か月後に接種できます。

ちなみに、海外では熱性けいれんの病歴のある児に対する予防接種についての記述は少なく、特別な基準はありません。これは日本との予防接種に対するスタイルや考えの違いなどが影響していると考えられます。

単純型と複雑型

熱性けいれんは単純型と複雑型という二種類に分けられます。ポイントは以下の3点です。

  • 焦点性発作(部分発作)
  • 15分以上持続する
  • 一発熱機会内の、通常は24時間以内に複数回反復する発作

いずれか一つでも当てはまる場合は複雑型熱性けいれんとなります。

さらに30分以上けいれんが続く状態をけいれん重積といいます。治療を行い、けいれんを止める必要がある状態です。

単純型熱性けいれんであれば、多くの場合問題がないため、経過観察のみで治療も必要なく、病院を受診しても帰宅することが可能です。複雑型、特に重積している状況であれば治療、検査、経過観察の目的に入院加療の方がいい場合がほとんどだと思います。実際にはその場での状況しだいですので、診察をした医師の説明をよく聞いたうえで判断してください。

けいれん発作時に家族ができること

落ち着く

一番大事なことは落ち着くことです。これが親にとっては難しいことなんです!

安全な場所へ寝かせる

次に発作を起こしている子どもを安全な場所へ寝かせましょう。落ちる可能性があるベッドよりも床の方がいいですし、周囲にスペースがあるほうが子どもに処置を行うときも安全です。

助けを呼ぶ

一人での対応が無理と考えるときは、まず助けを呼びましょう。例えば、家に他の大人がいるなら声をかけてください。どうしようもなければ救急車を呼ぶことは大切だと思います。

よくある事例で、救急車を呼んで搬送されたにも関わらず、到着したときにけいれんが止まっていると申し訳なさそうにされるご両親が多いのです。しかし、けいれんが起きた段階で、それがすぐに止まるのかそうでないのか判断することは無理ですので、一人で困るよりも救急車を呼ぶ方が私はよいと思います。

口の中にモノをいれない

「けいれんをすると舌をかむ」ということをよく聞きますが、実際には起きません。なので硬い物、布、ましてや指は口の中に決していれないでください。指をかまれると痛みで思わず手を抜いてしまい、その時に歯が抜ける可能性があります。

もし嘔吐して、吐物が口のなかにあるなら、顔を横にむけて口のなかから出すようにしてください。誤嚥のリスクとなります。

熱性けいれんの予後

熱性けいれんが発症しても、90%以上の人はてんかんへ移行することはありません。5-6歳ごろまでにけいれんは起きなくなります。

ただし以下の要注意因子がある場合はリスクが高くなるため注意が必要です。

  • 無熱性けいれんの家族歴
  • 発症前から発達の遅れ、神経学的異常がある
  • 初回の発作が複雑型けいれん

再発と予防

再発率

ほとんどの人が1回のみの発作となりますが、15%程度が再発します。以下の予測因子があると2倍の30%となりますので注意してください。

  • 両親いずれかの家族歴がある
  • 1歳未満の発症
  • 発熱-発作間隔が短い(おおむね1時間以内)
  • 発作時体温が39度以下

再発予防

予防方法として、発熱が認められたときに、ジアゼパム(商品名ダイアップ)座薬を使用します。しかし、100%確実に予防できる方法ではなく、副作用もあるため、必要と思われる子どものみに行われる必要があります。適応に関しては家族歴や今までの発作の回数や経過などを考慮して慎重に決められるので、かかりつけ医に相談のうえ決めるのが望ましいです。

参考資料

・開業医の外来小児科学 南山堂

・熱性けいれん診療ガイドライン2015

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