インフルエンザワクチンは効果ある?なぜ値段が違う?



インフルエンザワクチンを接種しましたか?

2019年は例年よりもインフルエンザ流行情報が早く出てきました。慌ててワクチン接種をされた方もいるでしょう。「すでに手遅れ?」と思われるかもしれませんが、インフルエンザワクチンはA型2種類、B型2種類をカバーするように作られているため、感染していないインフルエンザウイルス感染予防に有効です。感染する前に今年も接種をすませましょう。

ワクチン供給量は足りるのか

最近はワクチンの供給が足りないため、接種できない、接種までに時間がかかるケースが増えました。2019年につくられるワクチンの数は約2951万本と発表されており、2018年の2630万本や、平成29年を除く過去6年間の平均使用量(2,598万本)を上回っていると厚生労働省が発表しています。理論上は今までで一番多い量を製造しているから、足りるだろうということですね。

ワクチンができるまでの流れ

ワクチンは次の年に流行が予想される型がWHOによって決められて、その後日本でも生産が始まります。2019年4月には審議も終了して、その後製造が国内メーカーで開始されています。9月下旬から販売開始される予定でしたので、今回の8月〜9月にかけての流行は想定よりも早かったということになります。

厚生労働省 ホームページ 資料より引用

引用元URL:2019/20シーズンの インフルエンザワクチンの供給について

インフルエンザワクチンの値段は病院によって違う理由

インフルエンザワクチンについて調べると、価格の違いがあるのに気がつくと思います。地域や病院によって様々です。3000円程度から5000円程度といわれています。価格に違いがあるのは、ワクチンが自由診療だからです。

メーカーが販売しているワクチンの値段に、注射器、人件費などを追加することで決定されます。なので病院によっては、どうしても経費がかかるので高価になる場合、サービスとして安くすることで多くの人に接種するなど、病院の特徴がでてきます。

もちろんワクチンの効果に違いはありません。いつも診てくれている病院にいくのもいいですし、ワクチンだけ安い病院を探していくのもいいかもしれません。子どもをもつ親としては重視する病院選びは以下の2点です。

  1. ワクチンのための予約・診察室がある(風邪で受診している子どもと接触しなくていい)
  2. 親も同時に接種してくれる(子どもを連れて行くついでに接種)

ワクチン接種回数は何回必要か

ワクチン接種は13歳以上では、インフルエンザワクチン0.5mlを1回接種で十分な効果が得られます。ワクチンの添付文書には1〜2回と記載されていますが、1回で十分です。ただし、治療として2回の接種が必要と思われる方は、主治医と相談してから接種回数を決めるようにしましょう。

13歳未満は2回の接種が推奨されています。諸外国では9歳以上は1回でよいとされています。

接種するワクチンの量は、6ヶ月〜3歳未満 0.25ml、3歳以上 0.5mlが接種量となります。実はワクチン1本は1mlで販売されていますので、接種人数が偶数でないと無駄になってしまいます。

インフルエンザワクチンの予防効果。効くの?

最後にインフルエンザワクチンは本当に効果があるのかについてです。「接種しても感染したことがあるから、接種しない!」という意見をよく聞きます。確かに他のワクチン、例えば麻しん風しん混合ワクチンのように感染しなくなるものとは違います。だからといって効果がないのでしょうか?

打っていたら60%の確率でかからなかったかも

6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究で、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。有効率の算出は以下の方法です。

・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
→ ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%

つまり感染した人はワクチンを接種していれば、感染するリスクが60%抑えることができたと説明できます。

重症化にならなかったかも

国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。

乳幼児の重症化予防も報告があります。(参考:Katayose et al. Vaccine. 2011 Feb 17;29(9):1844-9)

感染に関連してかかるコスト

インフルエンザに感染すると、体調面と感染拡大予防の点から感染者は外出できなくなります。大人であれば仕事を休むことになります。子どもが感染すれば、親は看病のため仕事を休む必要がでてきます。解熱剤や抗インフルエンザ薬の医薬品が必要になります。家族内で一人が感染すれば全員に拡大する可能性は高いです。この経済的なリスクも考えると、数千円のワクチンへの投資は安いものではないでしょうか?

参考

インフルエンザで気になることがあれば厚生労働省のQ&Aが充実していますので参考にしてください。

厚生労働省 平成30年度インフルエンザQ&A

2019/20シーズンの インフルエンザワクチンの供給について

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。