ぶどうの美味しい季節ですが、ぶどうの大きさ、丸さは誤嚥・窒息にはとても危険です
注意喚起にかかわらず、繰り返し同様の事故が起きています。
この記事ではInjury Alert #49からぶどうによる誤嚥事故を2例紹介します
①2歳6ヶ月 男の子
ぶどうを食べるのは今回が初めてです
3cmの皮をむいた巨峰をまるごと1個を一人で食べたところ、突然咳き込み、意識消失したため、救急車を要請しました。
直後、家の外にいた通行人がハイムリック法を行い、ぶどうが排出されるという奇跡的な経過でした。
特にその後の経過は問題ないとのことです。
②1歳6ヶ月 男の子
ぶどうを食べるのは今回が初めてです
皮をむいた巨峰まるごと1個食べた直後から、顔面蒼白、チアノーゼが出現しました。
父が背中を叩いたが改善なく心肺停止となり、救急車で病院へ搬送されました。
病院で心拍は再開したが、脳死状態となり、3ヶ月後死亡という結果になりました。
食品による窒息
食品による食品安全委員会からの評価書によると窒息をおこす果実類としてはぶどう、ミニトマト、りんご片等が知られています。
これらの食材が起こしやすい理由としては、硬さがあり,球形で,外表がスムースで口の中を滑りやすい果実・野菜という点です。
そして、窒息死の7~10%は果実が原因です。
年齢ごとの発生率
年齢別に「気道閉塞を生じた食物の誤嚥」による死亡数は平均だと0.4%です。
しかし、0歳〜9歳を見てみると
0 歳(0.6%)
1 歳(1.1%)
2 歳(2.2%)
3 歳(1.0%)
4 歳(1.7%)
5~9 歳(0.3%)
となっており、平均よりも高いことがわかります。
つまり、死亡数の比率からは5歳未満はリスクが高いことがわかります。
乳幼児のリスクが高い要因は?
乳幼児にとくにこのような事故が多い理由として
・歯で噛み切る
・臼歯ですりつぶす
これらの機能が未熟だからと考えられています
誤嚥を予防するために
・5歳未満の子どもには
・1/4以下にカットして与える
バイスタンダーによる救助
紹介した症例①のようにバイスタンダー(その場に居合わせた人)による救助が命を助けた事例もあります。
1998年の消防本部のデータ、810例によると半数以上の事例において、バイスタンダーによる除去法の口頭指導が行われていました。
その8割以上を背部叩打法が締めていました。次いで、指拭法、ハイムリック法でした。
現場に居合わせた人による除去処置の成功率は6割程度ですが、処置の有無と生存率の関係をみると、オッズ比は3.0でした。
つまり、処置を行うことで生存率が3倍になり、死亡を減少させる要因になると考えられます。
背部叩打法、ハイムリック法について学ぶことは有効です。私自身の経験から、実際に講習会をうけておく必要があると思います。
講習会が開催されていたら是非一度、受講してみてください。
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