RSウイルス感染症をまとめて解説します



RSウイルスとは

赤ちゃんから大人まで呼吸器症状を起こすウイルスです。年長児や大人にとってはただの風邪程度の症状ですが、乳幼児は特に重症化のリスクが高く注意が必要になります。季節により流行しますが、特別なウイルスというわけでなく、世界中で認められます。子どもにとっては症状がひどくなったり、集団生活の中で感染が広がることが多いウイルスです。お子さんがいれば、一度は聞いたことがあるRSウイルスについて解説します。

疫学 流行時期

RSウイルスは乳幼児の肺炎の約50%の原因と報告されています。より年長の小児において気管支炎の10~30%に関与しているともいわれています。全世界で1歳未満の下気道感染の1番の原因であったり、5歳未満の入院患者で1000人中4.4人はRSウイルスによるものと報告されています。RSウイルスによる入院頻度は6か月未満の乳児(20.0/1000人)、1歳未満の早産児(63.9/1000人)でさらに高いです。

RSウイルスは死亡原因として、生後1か月未満の2.3%、1歳未満の6.7%、4歳未満児の1.6%と報告があります。

通常は冬から春にかけて流行する感染症で、地域で急激に感染数が増えます。最近はその流行が秋、夏から始まることもあり、地域ごとの流行に多少の違いはあるように思われます。

高齢者のRSウイルス感染の重症化も問題になっており、療養施設内での集団発生も起きているようです。

症状

潜伏期は2~8日。病気の期間は7~12日程度です。初期は発熱、鼻汁などの上気道症状で、その後下気道症状(気管支炎、肺炎など)が出現します。軽い風邪症状から、重症の肺炎まで様々で特徴的な症状はありません。生後間もない時期での感染では、症状が非典型的で、無呼吸をともなうこともあり、突然死につながる可能性があります。年齢を追うごとに症状は軽くなります。

一度感染しても、免疫ができることはないので再感染を起こします。報告では毎年6~83%の小児が再感染を経験しているそうです。

診断方法

RSウイルスは迅速診断が可能です。鼻に専用の綿棒(スワブ)を挿入する、もしくは吸引した鼻汁を使用して検査を行います。おおむね10分程度で検査結果はわかります。

しかし、検査の対象となるのは、以下の方々です。

  1. 入院中の患者
  2. 1歳未満の乳児
  3. シナジス(パリビズマブ)の適応となる患者

「RSウイルスにかかっているか気になる症状の軽い小児」、「悪化の可能性が低い年長児」は場合によっては検査の対象にならないかもしれませんので、受診をした医師と相談してください。

その他、血液検査や胸部X線(レントゲン)を用いて診断できる特別な方法はありません。流行情報、症状から推測することは可能と思われます。

治療

RSウイルスに特異的な治療法、治療薬はありません。呼吸器症状などに対して、輸液(点滴)、酸素投与、呼吸器管理を行うのみです。一般の風邪などに使われる、気管支拡張剤、ステロイドの使用に関して研究は行われているようですが、十分な有効性は示されていません。症状がひどい場合は入院治療が必要になることもあります。

予防

インフルエンザのようなワクチンはまだ開発されていません。早産児、心臓に病気のある乳幼児など、特別な対応が必要な方々に限ってはシナジスという注射薬が感染を防いだり、症状を軽くするためにあります。

感染は飛沫、分泌物に汚染された手指や物品を介した接触感染です。手洗いによる一般的な予防法が有効です。家庭内でよく感染が広がり、持ち込むのは主に感染症状をきたした学童年齢の子どもです。

まとめ

  • 冬から春にかけて流行
  • 全ての年齢で感染するが、乳幼児(1歳未満)は重症化に注意が必要
  • 診断は迅速検査ですぐにできる
  • しかし、特別な治療方法、予防ワクチンはない

参考文献

国立感染症研究所 RSウイルスとは

UpToDateより Respiratory Syncytial virus infection:Clinical features and diagnosis

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