4か月健診 今だから必要な自宅でのチェック項目、目的を説明します。

赤ちゃんへの影響



新型コロナウイルスの流行により、集団での乳幼児健診が中止となっています。

早期発見にて対応可能な疾患が見逃される可能性があります。

4か月健診で大事なこと、自宅でもチェックできることを解説します。

気になることがあれば、かかりつけ医へ電話で予約確認した後に受診してください。

身体診察

小児科医による診察が必要ですが、自宅でチェックできることもあります。

はっきりと追視ができる

この時期であればペンライト程度の明かりには反応することができます。首も座っているので、光を追いかけるはずです。

追視ができず、見えない方から声をかけても振り向かないときは、視力、聴力ともに反応に問題があり、精神発達の遅れも疑われます。

あやすと声を出して笑う

この時期は反応してなんにでも笑います。そうでない場合は、精神遅滞乳児自閉症が疑われます。

原始反射の消失

モロー反射(びくっとする動きです)など、生まれた時からある反射を原始反射といいます。

原始反射の有無は判断が難しいため経験のある小児科に診てもらう必要があります。

筋肉の緊張

筋肉がぐにゃっとして力が入らない状態は筋緊張低下

体が常にピンと力が入っている状態は筋緊張亢進

このような症状があるときは精密検査が必要になります。

首が座っている

体を支えて座らせたときに、首が座っているなら大丈夫です。

もしくは腹ばいにしたときに、顔を上げて前を向けるなら首が座っているのと同じです。

4か月の時に首すわりが完全にできなくても、あわてる必要はありません。1か月程度でできることもあります。

先天性股関節脱臼

脚の付け根の関節がはずれる病気です。1000人に1~3人に発生します。

リスクとしては

  • 向き癖がある
  • 女の子(男の子より多い)
  • 家族歴がある
  • 逆子で生まれた
  • 寒い地域や時期(11月~3月)に生まれた(脚を伸ばした状態で衣類でくるんでしまうため)

生後3~6か月に治療を開始することが望ましいため、4か月健診で発見しておきたい疾患です。

自宅でできる確認方法としては、両足を伸ばしたときに太もものシワの位置が左右違うということがあります。これは脱臼の影響で脚の長さに左右差が認められるからです。

あおむけで寝かせて、膝を立てた時に左右の膝の高さが違うことでも確認できます。

診察では股関節の開排制限、つまり足をM字開脚させたときに脱臼している側が十分に開かない、クリック音がなるという症状があります。

詳細は日本小児整形外科学会が作成した手引きが参考になります。

先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き

栄養指導

哺乳と食事

哺乳量にムラが出てくる時期なので、ミルクを飲む量が減少した時に、無理やり飲ませようとうするとミルク嫌いを起こすことがあります。

多少哺乳量が減少しても、機嫌がよく元気であれば焦る必要はありません。

離乳食は満5~6か月から離乳食を開始するのが一般的なので、生後4か月ごろから準備が必要になります。栄養面というより、離乳食に慣れることが大切です。

離乳食がすぐにすすまなくても大丈夫。離乳食後に母乳やミルクを欲しがるなら、あげても問題ありません。

体重と身長

大きく成長する時期です。哺乳が問題なくすすんでいるなら、成長も大丈夫なはずです。

生後4か月児は自宅の体重計で正確に測れるかわからないので、予防接種の際に小児科で計測を依頼したほうがいいと思います。

母子手帳にある成長曲線に身長体重を記載して、正常範囲内にあるか確認してください。

生活指導

初めてのお子さんの場合わからないことが多いと思います。

本来の健診であれば、以下のような日常生活について相談ができます。

衣服

大人と比較して生後2か月以内は1枚多く、2か月以上は大人と同じ、1歳以降は1枚少なくして薄着にするのが基本です。

赤ちゃんの肌に触れてみて汗ばんでいれば1枚少なるするといいでしょう。

睡眠

4か月頃から昼と夜の区別がつくようになります。昼は外気浴などして遊び、夜は静かにするとよいでしょう。

ルーチンを作ることで、安眠と夜泣き対策としての効果があります。

外気浴

外の新鮮な空気を吸って呼吸器系の刺激を図り、気温の変化に順応する身体を作るために行います。

過度に日光を浴びる必要はありません。ベビーカーに乗せて外出しましょう。

(今は外出自粛中なので、人込みを避けましょう)

事故防止

赤ちゃんの動きが活発になり、手の届くものはなんでも握るようになります。周囲に危険物がないようにしましょう。

窒息、転落、熱傷、誤飲の事故には特に注意しましょう。

SIDS乳幼児揺さぶられ症候群にも注意が必要となります。

SIDSの注意、予防についてはこちらの記事で説明しています。

SIDS予防の3つのポイント(さらにアメリカ小児科学会が推奨する11個のポイント)を解説

2020年4月8日

予防接種の確認

生後2か月から予防接種を行っていますか?順調に進んでいるか確認しましょう。

予防接種で予防できる病気は、非常に危険な感染症が多いです。このような時期ですが、必ずワクチン接種をしましょう。

  • ワクチン外来があるか
  • 患者が少ない時間を予約できるか

この点を確認して受診することが大事です。

まとめ

急を要する状況ではないですが、このまま健診が開催されないと病気が見落とされる可能性があります。

おすすめは予防接種にあわせて、気になる点を相談するのがいいです。

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。