小児のヘリコバクターピロリ菌除菌療法について解説



ピロリ菌が注目される理由

多くの方が名前は聞いたことがあると思います。胃潰瘍、胃がんの原因として注目されています。人間ドックでも内視鏡検査に追加して、ピロリ菌の検査ができる場合も多いです。私も”オプション”でピロリ菌抗体検査を追加したことがあります。

ピロリ菌が原因で起きる病気

どのような病気と関連が報告されているのでしょうか。成人、小児ともにガイドラインも作成されており、多くの情報があります。

成人では以下の疾患とピロリ菌の関連がガイドラインに記載されています。

1)胃潰瘍・十二指腸潰瘍
2)胃MALTリンパ腫
3)特発性血小板減少性紫斑病
4)胃癌
5)萎縮性胃炎
6)胃過形成性ポリープ
7)機能性ディスペプシア(上腹部不定愁訴)
8)その他の疾患
鉄欠乏性貧血
慢性蕁麻疹

小児のガイドラインでは以下の疾患の記載があります。

  • 胃MALTリンパ腫
  • 蛋白漏出性胃腸症
  • 鉄欠乏性貧血
  • 慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(慢性ITP)
  • 慢性蕁麻疹

子どもでも問題になるピロリ菌

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

子どもでも成人と同様に潰瘍形成の原因となり、消化器症状(腹痛、嘔吐、血便)などを起こします。小児の場合は診断のための内視鏡検査を行うのが難しいのが問題です。1)安全に行うために鎮静・軽度の麻酔、2)子どものサイズに適した内視鏡が、3)十分な技術・経験をもった医師、こられが必要になるため、どの施設でもできるわけではありません。臨床経過から十分に疑うことができれば、まず内服治療を行うのが現実的ではないでしょうか。

鉄欠乏性貧血

小児の場合は1)成長に対して不足している、2)鉄の摂取不足で起きることが多いので、通常は鉄材の内服をすれば回復します。内服治療抵抗例や頻回に再発する患者で、ピロリ菌陽性が報告されているので注意が必要です。加藤氏の報告では、貧血を認めた小児ではピロリ菌陽性 13.8%と陰性 1.1%と比べて有意に多かったのです。他にも腹痛、嘔吐、吐血、タール便を認めた際のピロリ感染を比較しましたが、陽性/陰性に差はありませんでした。

ピロリ菌が貧血を起こすメカニズムに関しては諸説あり、胃粘膜障害のために鉄材の吸収ができなくなる、ピロリ菌が鉄を使用するため減少する等が考えられています。

慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(慢性
ITP

以前はIdiopathic(特発性) Thrombocytopenic(血小板減少性) Purpura(紫斑病)と言われていましたが、最近ではImmune(免疫性)と言われています。いずれにせよITPの略語はかわりありません。血を止めるのに必要な血小板が減少する病気で、小児慢性特定疾病です。ITPの原因自体が不明ですが、免疫が関係していると考えられていますので、ピロリ菌などの感染が影響していると推測されます。

ステロイドや免疫グロブリンを用いた治療が第一選択なのですが、難治性であったり、慢性化する場合はピロリ菌の可能性を考慮した治療を行います。

子どもにも除菌療法はできるのか?

小児の診療、管理ガイドラインでは以下のような流れが推奨されています。

  1. 内視鏡検査(慢性ITPでは必須でない)
  2. 感染検査(生検組織が必要:迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、病理組織検査、生検組織が不要:尿素呼気試験、便虫抗原検査)
  3. 感染があれば除菌療法
  4. 除菌判定

となっています。

治療は抗生剤+プロトンポンプ阻害薬(PPI)になります。PPIは胃酸分泌を抑える作用があります。

2019年時点で、小児が使用できる形態のPPIはネキシウムのみです。胃潰瘍などの治療には適応がありますが、除菌療法での使用が保険適応に含まれていません。なので、除菌療法を希望されている方は主治医と検査方法、内容、治療についてよく相談するようにしてください。

関連リンク

小児期ヘリコバクター・ピロリ感染症の診療と管理ガイドライン2018(改訂2版)

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