【論文】アメリカで保険加入している小児のHPVワクチン接種の傾向

コロナウイルスワクチン



この記事では子どもに関連する英語論文の要旨の部分を紹介します。

原文はこちらです

目的

HVPワクチンは2006年から女児に2011年からは男児に推奨されている。Healthy people 2020の目標では、15歳の男女の80%が2回のワクチン接種をうけることとなっている。

*Healthy people 2020とは2010年に発表されたアメリカ国民の健康政策の指標です。10年ごとに見直されている。

方法

MarketScanhealth careのデータベースをもとに2003年1月から、2017年12月までのコホート研究が行われた。

期間は子どもが9歳になったときから、HVPワクチンの接種、保険の解除、17歳になるまでの、いずれかの時点まで。

少なくとも1回、もしくは2回のHPVワクチンの累積接種率を推定し、生まれた年、性別、州で階層化した。二次的な分析として、州ごとのワクチン政策とHPVワクチンの接種率を推定した

結果

7,837,480人の小児がこの研究に参加した。

15歳の男女で少なくとも1回のHPVワクチン接種は2011年から2017年で女児38%57%、男児5%→51%に増加した。

2回接種は女児30%46%、2%39%に増加した。

2017年までに2回接種した割合はコロンビア州ワシントンでの女児80%から、ミシシッピ州の男児15%まで様々だった。

HPVワクチンの教育や小児科医を受診できる環境についての法令と正の相関があった。

結論

取り組みにより接種率は増えているが、HPVワクチンの接種率はまだ目標には到達しておらず、州によってかなあり差があることがわかった。

感想

アメリカは約10年前から国をあげて取り組み、ようやく増加傾向となったが、それでも目標以下であるという調査結果。

これは世界各国での対象女子の接種率だが、8割り程度接種を行っている国がある一方で、日本はダントツに低い、というかほとんど接種していない状況となっている。

各国のHPVワクチン接種プログラム対象女子の接種率

MSD connectのホームページより画像を引用

さらに日本では男児への定期接種はないため、アメリカと比べてもまだまだ先は長い。

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。