Modest Calorie Reduction Can Improve Cardiometabolic Health
JAMA(Journal of American Medical Association:米国医師会雑誌)に掲載された記事を紹介します。「控えめなカロリー制限が心臓や代謝の健康を改善する」というものです。記事のリンクはこちらになります。またこの記事内で紹介されている研究はLancet Diabetes & Endocrinologyに掲載されています。通常食べる量を極端に減らさなくても-12%程度減らして継続するだけで、健康になれるという報告です。
Modest Calorie Reduction Can Improve Cardiometabolic Health
研究背景
もともとアカゲザルの研究でカロリー制限をすると心血管疾患のリスクが減少することが報告されています。ほかの研究では、典型的なアメリカの食事を食べた人は、半分程度に制限した人と比べて、心・代謝疾患のリスクがとても高いことが示されています。
ではどの程度の制限が、短期的・長期的によいのかが検討されました。
研究方法
21歳~50歳までの健康で肥満でない男女、218人が参加し、好きに食べていい人75人、25%のカロリー制限をした人143人に分けられました。この研究は2年間行われました。調査した項目は以下になります。
- 体重の変化
- 脂肪量
- 血圧
- 血液中の脂質
- High-sensitivity C-Reactive Protein(高感度CRP)
- メタボリックシンドロームスコア
- 空腹時のインスリン・血糖・インスリン抵抗値
研究結果
途中で研究を離脱した人は、カロリー制限群では18%、好きに食べた群は5%でした。カロリー制限した人達の制限できたカロリーは平均12%でした。これは研究の1年目では1日当たり279カロリー、2年目は216カロリーを制限していたことになります。
カロリー制限により体重は7.4kg、10%程度減少し、71%の脂肪量が減少した。好きに食べた群は”quarter of a pound”=100g体重が増えていた。
心血管、代謝疾患のリスクはカロリー制限群で改善を認めた。
もし研究の対象者全員が25%のカロリー制限をしても、この結果にある12%の制限ほど病気のリスク改善はなかっただろう。
まとめ
食事を12%(200~300カロリー)程度減らして、2年間過ごすだけで体重のような見た目の変化だけでなく、血液検査の結果も改善を認めるとのことです。ピザ一切れやジュース1本をやめるだけで、健康が改善すると考えれば簡単なことではないでしょうか。著者らは今回の検査の対象でなかった年齢の人たちも、同様の効果があると考えており、この食事制限を試すのに遅いと感じることはないと考えています。
この食事制限の効果はどれぐらい持続するのでしょうか?答えとしてLegathy effect(遺産効果)というものがああります。これは治療(介入)が終わった後にも効果をもたらすというものです。もともとあまり動かない肥満の成人に対して行った8か月間の運動介入研究が、10年後も参加者に効果があったと証明されており、この食事制限もその後によい影響を残す可能性もあるかもしれません。
「夕食後に食べるのをやめられるなら、この研究で示したカロリー制限を95%の人が行うことができる。これは難しことではない」このように著者は最後にまとめています。
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