大人がかかると怖いおたふく風邪の合併症を解説

大人がかかると怖いおたふく風邪の合併症を解説



子どもが1歳をすぎるとおたふく風邪のワクチン接種ができます。

私は乳幼児健診などで親と話をするときに、両親がワクチン接種をしているか尋ねます。

なぜなら、子どもから大人へ感染してしまうことが考えられるからです。

そして子どもよりも大人の症状がひどいからです。

大人が感染したときの症状

どのような合併症があるのか

一度かかったのだから、もうかからない?

この記事では、これらの疑問に答えていきます。

大人が感染すると

大人が感染すると

おたふく風邪は耳下腺などが腫れて、痛み、発熱を伴う病気です。

特効薬はなく、症状が改善するまで熱や痛みに対して治療を行います。

大人は子どもに比べて免疫の反応が強いため、症状が強くなります。

重症化して入院することもあるほどです。

一度かかったから、大丈夫?

一度かかったから、大丈夫?

終生免疫

終生免疫とは一度感染したら、その後免疫がつづくということです。

ワクチン接種をしていれば、おそらく免疫はあるので大丈夫でしょう。

またおたふく風邪にかかったことがあれば、免疫はついています。

診断は正しいか?

子どものころにおたふく風邪になったという方がいますが、本当でしょうか?

おたふく風邪の診断は症状と流行情報で行います。

経験のある医師なら特徴的な耳下腺の腫れでわかります。

もちろん血液検査で抗体を調べる方法もあるのですが、一般的ではありません。

そのため、別の病気であったけどおたふく風邪と診断されている可能性は否定できません。

 

以上から、ワクチン接種歴がある方以外は、免疫がないかもと考えたほうがいいと思います。

合併症

合併症

難聴

重要な合併症で、多くは片方だけに起きます。

成人では4%に一時的な聴力低下を起こします。

さらに永久的な聴力障害は0.25%に認められます。

まれですが、永続的な障害となるため、注意が必要です。

脳炎・髄膜炎

脳や髄膜に炎症が起きます。

髄膜とは脳、脊髄の周りにある膜です。

3-10%に認められます

症状は発熱、嘔吐、意識障害、頭痛、けいれんなど様々です。

一般的に経過はよいといわれており、後遺症を残すことはほとんどありません

精巣炎

思春期以降に起きやすくなります。

発症率は20-30%で、両側ともになるのは10%程度です。

耳下腺が腫れてから4-8日後に、発熱や、痛みを伴って腫れます。

1-2週間で改善します。

約50%に精巣の萎縮を認め、25%に精子形成障害を起こしますが、不妊症になるのはまれです。

卵巣炎

思春期以降に起きやすくなります。

7%程度に起きますが、不妊の原因になるとはいわれてません。

乳腺炎

15-30%に認められます

膵炎

4%に認められ、一般的に軽症、もしくは無症状です。

まれに耳下腺が腫れて1週間後に発熱や心窩部痛、吐き気、嘔吐などで発症することがあります。

まとめ

まれですが、おたふく風邪の合併症の種類は多いです。

なかには重症な病気もあり、予防しておくことが大事と思います。

予防にはやはりワクチンが一番です。

もし自分の抗体が知りたいのであれば、血液検査で調べることができます。

免疫がないのであれば、ワクチン接種をお勧めします。

 

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。