日本で風疹が流行している。国、自治体も対策を行っていますが、実際にワクチン接種はすすんでいるのでしょうか。
私が外来で出会う人たちと話してみると、まだ自分たちのことと思っていないようです。特に成人男性は自分に関係ないと考えています。自分の家族や周囲の人への影響あるんですよ。
風疹流行状況 2018年11月
国立感染症研究所のホームページより2012年から2018年11月までの風疹の流行情報です。国立感染症研究所 風疹
大流行した2012~2013年と同様に急激に感染者が増えています。数年前に起きたことの教訓が全く生かされていないのが現状です。
流行してるとはいっても、周りにいないからピンとこない方は、この都道府県別のグラフがいいと思います。全国北海道から、九州までみられていますから、今は0件であっても報告はでてくるでしょう。
そして診断は臨床的に難しいこともあるので、かかっているけど気づかないことはあります。
風疹にかかるとどうなるの?
風疹にかかることで起きる症状は
- 発熱
- 発疹
- リンパ節腫脹(特に耳の後ろ、後頭部、首)
もしくは不顕性といって症状がはっきりしないものもあります。これは風疹感染の15~30%程度です。
潜伏期間は14~21日です。特別な治療法があるわけではなく、熱や痛みに対応するのみです。基本的には予後良好な病気です。
診断方法は基本的に症状、特に皮膚症状のみです。もしくは流行情報を参考にします。つまり、十分な経験のある医師には診断できるが、見たことない医師は多いでしょう。
ウイルスを分離する方法は保険適応でないためできません。研究所や大学等に限られるため、特別な理由がないかぎり行われません。
あなた自身に抗体があるのか調べる方法はあります。しかし、1回の検査では感染したのかわかりません。感染初期と回復してからの2回採血して抗体が上昇していれば「感染していたね」ということがわかるだけです。正直役に立ちません。
本当の問題:妊婦の風疹感染と先天性風疹症候群
妊婦の感染が最大の問題です。妊娠初期(20週以前)に妊婦が風疹に感染すると胎児が先天性風疹症候群になる可能性が高くなります。
先天性風疹症候群の3大症状
- 先天性心疾患
- 難聴(高度難聴が多い)
- 白内障
- その他(網膜症、糖尿病、発達遅滞、精神発達遅滞など)
子どもの風疹ワクチン接種
風疹のワクチンはMRワクチンといって麻疹と風疹の混合ワクチンが使用されます。
1回目の接種期間は「生後12月から生後24月に至るまでの間にある者」つまり1歳の誕生日をむかえたら接種
2期の接種期間は簡単にまとめると、小学校入学前年度の1年間(4/1~3/31))
大人の風疹ワクチン接種
一番大切な妊婦は妊娠中にワクチン接種ができません。可能であるなら妊娠を計画した段階で抗体検査を行うか、ワクチン接種が望ましいです。
一般成人については今回の大流行をきっかけに接種をすすめます。たとえ抗体がある状態でワクチンを接種しても悪化することはありませんし、ブースと効果により免疫が強くなります。
さらに「軽症なら自分に関係ない」と思うことが誤解です。あなたの感染が知らないうちに妊婦へ広めている可能性もあるのです。知らない間に加害者になっているのです。
「過去にかかったことがある」という方の半分は抗体がありません。先ほども書いた通り、風疹の診断は症状だけですので、誤診も多いと思われます。
相談は小児科医へすることをおすすめします。医者の中で最もワクチンに接することが多く、詳しく知っているからです。もちろん内科の先生も詳しい方もいると思いますが。
この大流行の時に風疹抗体検査はいらない
余裕のあるときは抗体検査でもいいですが、今の大流行時期はワクチン接種の方がおすすめです。
A.抗体検査のお金、採血の痛み+ワクチン接種のお金と注射の痛み
B.ワクチン接種のお金と注射の痛み
どちらがいいですか?Aだとされに結果がでるまでに数日は時間がかかりますから、病院に2回行かないといけません。あなたにその余裕はありますか?
風疹とワクチンまとめ
今の風疹大流行であることを考えると
妊娠を予定している女性はワクチン接種を。
自分がワクチンを接種したのかわからない人、以前風疹にかかったことがあるといわれている人→ワクチン接種を。
妊娠中の人→産科の先生とよく相談して経過をみてください。
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