Injury Alertとは何か?
日常生活で子どもが遭遇する事故。それらは予防可能なものもありますが、報告されることもないため十分な対策が行われず、同じ事故が繰り返されています。
そのため、日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会により、2008年から日本小児科学会雑誌と学会ホームページに事故の詳細が掲載されるようになりました。それがInjury Alert(傷害速報)です。2011年からは類似の事例も掲載されるようになりました。
治療にあたる小児科医が知ることも大切ですが、実際に実際に事故に遭遇する両親、家族に知ってもらえるように記事を書いていきます。
No.024 しつけ箸による刺傷
年齢:4歳 5か月 性別:男
児がしつけ箸(写真1)を持ったまま椅子に座っていた。
右手にしつけ箸を持ち、3本の指が箸のリングにしっかりとはまっていた(写真2)。
椅子をぐるぐる回しているうちにバランスを崩し転落。右手を床につくかたちで床に落ちた。受傷直後、下顎中央にしつけ箸の先が刺さり、抜けた。かなりの出血が認められたため、タオルを当てて止血した。刺傷部位には2本の箸がささったと思われる穴が2つ認められた(写真3)。
写真1,2,3はNo.019 しつけ箸による刺傷より引用
治療経過
救急医療機関を捜して受診した.2針縫合され、その後毎日受診し、合計11日間、消毒のために通院した。顎部や口腔内に機能障害は認められなかった。
鋭利なものは刺さることを忘れない
箸(割り箸)、鉛筆、はぶらしなど、子どもが扱うものにも尖ったものは多いです。そして多くの子どもはそれらを持ったまま歩きまわってしましますので、多くの事故が報告されている。特に口にくわえるようなものは、口や喉の奥に刺さる可能性があり危険です。
国民生活センターには歯磨き中の喉突き事故に注意をうながしています。6歳以下で139件、そのうち124件が3歳以下でした。
子供の歯磨き中の喉突き事故などに気を付けましょう!-6歳以下の子供の事故が多数発生しています-
杏林大病院割りばし死事件(1999年)
ご存知の方もいると思いますが、1999年にわたがしを食べていた男児が転倒し、喉の割り箸が刺さった後死亡した事故です。受傷後に診察、治療を行った病院の医師が刑事・民事訴訟で過失の有無が争われました。司法解剖で頭蓋底を貫通し小脳まで達していた、7.6cmの割り箸の先端が認められました。
指への固定されるものは注意が必要
また、今回の事故が予想外であったのは固定用のリングが指から離れなかったことです。鉛筆の持ち方補助具にも同様のリングがついたものもあります。手指でつかわれるため、顔に近くに刺さる可能性が高いです。手指から簡単に外れる仕組みが求められます。
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