熱性けいれんになってしまったら?!再発予防をおさえておこう



熱性けいれんになると

「また起きたらどうしよう・・・」

この心配は親である以上つきないと思います。

しかし、予防方法もあります。

メリット・デメリットをあわせて解説します。

そもそも熱性けいれんの再発予防は必要か?

熱性けいれんのほとんどが1回きりです。ですから一度起きたからといって再発予防が必要なわけではありません。

以下で説明する薬物療法は効果があり日常診療で行うことは多いですが、ゼッタイに防げることを保証するものではないのです。

ガイドラインには要注意因子が掲載されているので、判断の基準として使用するとよいです。

1.てんかん発症に関するよう注意因子

  1. 熱性けいれん発症前の明らかな神経学的もしくは発達遅滞
  2. 否定型発作(部分発作、発作の持続が15~20分以上、24時間以内の繰り返し、のいずれか1つ)
  3. 両親・同胞におけるてんかんの家族歴

2.熱性けいれん再発に関するよう注意因子

  1. 1歳未満の熱性けいれんの発症
  2. 両親または片親の熱性けいれんの既往

予防対策が不要と思われる場合

過去の熱性けいれんが2回以下で、すべての要注意因子を認めないのであれば、再発対策は不要でよいと思います。発熱の原因に対して対策してあげればよいでしょう。

予防対策が必要と思われる場合

以下の項目をみたす場合は予防対策がよいかもしれません。まずはかかりつけの先生とよく相談してください。

  • 長時間のけいれん
  • 要注意因子が2つ以上
  • 過去の発作回数が2回以上
  • 短期間に発作が頻発する

熱性けいれんの予防方法

ご家庭でできる予防方法ですが、ジアゼパム座薬(商品名 ダイアップ座薬)といいます。使用量は0.4~0.5mg/kg/回ですが、使うときは処方された用法・容量を守ってください。また副作用としてふらつき眠気、興奮を認めることがあるので注意しましょう。

熱性けいれんは熱が上がるとき起きるので、37.5℃以上の体温上昇を認めたら使用してください。1回目から8時間経過しても熱がつづくなら、2回目を追加投与して予防は終了です。

ダイアップの使用といっしょに発熱への対策もしましょう。解熱剤の座薬を使用するときは、ダイアップ座薬との間隔を30分以上あけましょう。これは解熱剤の成分の影響でダイアップの吸収率がひくくなるからです。まずダイアップ、そして解熱剤の座薬でお尻にいれてください。

熱性けいれん予防による効果は?

この方法で、再発率は1/3に低下します。2年間の再発生率の報告では、予防しないと約40%であったのにたいし、予防すると10%前後に低下します。

しかし、熱性けいれんは発熱の最初におきるため、熱に気づく前にけいれんをおこして、予防が間に合わないこともあります。起きてしまったけいれんにダイアップ投与は効果がないので、使用せずに医療機関への受診をかんがえてください。

まとめ

  1. 熱性けいれんの要注意因子がある人は予防を考えましょう
  2. 熱があがりそうなタイミングでダイアップ座薬を使用する

参考文献

  1. 開業医の外来小児科学 改訂5版
  2. 熱性けいれん 診療ガイドライン 2015

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病院で勤務する小児科専門医 1児(娘)の父です。 娘の誕生を機に、小児科医だからできる育児情報の配信をはじめました。 育児、子どもの病気、最新の論文を紹介していきます。